※この記事はわかりやすさ重視の為、専門用語は極力使わずに説明しています。
当ブログを参考にして起きたトラブル等、一切責任は取れません。
くれぐれも自己責任でお願いします。
(義)両親トラブルは主に3種類
同居が難しいと感じるのは一般的。
別居していても避けられないトラブルも存在しているのを御存じですか?
『同居トラブル』と『扶養義務』と『相続』問題です。
自分が40~50代になったときに発生しやすいこの問題。
子育てや老後に支障をきたさないように早めの対処が必要です。
義両親と仲が良くても、兄弟間で揉める可能性もあります。
知識だけは入れておいてくださいね。
☟当てはまったら即対処☟
・義両親と、同居になりそう
・経済的に親を養うのがしんどくなってきた
・生前に親の資産をもらいたい
①同居トラブル:使用借権(しようしゃくけん)
使用借権とは、、、
無償で貸すと、無償でずっと使ってもいい契約が発生すること
契約に書類は必要ありません。
『終了』と『解約』の2パターンにより終了します。
【例1】友人に無償で物を貸した場合
当事者(物を貸した人と借りた人)が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をすることになっています。
あなたが本を貸していたとして、友人が本を読むことが『目的』、読み終わったら返還する契約ということです。
友人がいつまでも本を読み終えない(目的が終わらない)と、借り続けられてしまう可能性があります。
もう読み終わっているのに、まだって嘘つかれたら返してもらえない、、。
【例2】目的は住むこと
あなたが妻だったとして、主人名義の持ち家に家族と義両親と同居しているとします。
義両親が住居費を負担しておらず何年か経過した場合、無償で死ぬまで住んでいい契約が発生してしまいます。
目的が『住むこと』なので、死亡しないと使用借権は終了しません。
使用借権を解約するには
両親には出てってほしいんだけど、使用借権の解約理由になるよね?
出ていかないって言われたら泣き寝入りだよ。
住居費を負担してもらえたら一番いいけど、そもそもお金がないから無償で住んでいるわけだしね。
ニートの子どもを追い出す場合も同様、無償で長期間住まわせてしまうと泣やっかいです。
使用借権を解約するのにかかる費用
無償で貸しているのにも関わらず、退去を求める際にはなんと、立退料が発生します。
自宅兼、義両親が経営しているお店の建物だったらもっと大変。
店の売上まで補償しなければならなくなる。
具体的な金額は当事者同士で話し合ったり、弁護士に着手金を支払うことで計算します。
対策
・同居をしない
経済的に苦しいと頼まれても、貸主のデメリットが多き過ぎるため、断りましょう。
とはいえ見捨てることもできないので、読み進めていって、『相談先』を参照してください。
・少額でもいいので、『家賃』を払ってもらう
賃貸借契約に切り替えましょう。
賃貸契約書にサインしてもらえると尚いいです。
※裁判は可能ですが、以下の理由によりおすすめできません。
・裁判費用が高い
・判例がまちまちで勝算が低い
・判決がでるのに時間がかかる
②扶養義務:保護責任者遺棄罪
親の扶養義務は子にありますが、放棄はできないものの、無理して行う必要はないとされています。
しかし同居をしてしまうと、途端に扶養義務が大きくのしかかります。
保護責任者遺棄罪
義両親がいきなり死んでしまった場合、十分な介護や処置をしていないとみなされると、同居している子が責任を負う可能性があります。
保護責任者遺棄罪とは、
要保護者に、「何もしなかったこと」が罪に値します。
要保護者とは、老年者・幼年者・身体障害者・病人など保護が必要な人のことです。
同居している場合、親が老年になると、子ども夫婦が要保護者になります。
該当する行為
・そのままにしていると命の危険があるのにも関わらず放置する行為
酔いつぶれているのに介抱しなかった等。
赤ちゃんを車に置き去り、寝たきりの要保護者を置いて何日も家をあけること等。
・生存に必要な保護を怠る事
食べ物を与えない等。
罰則
・生きている場合
3カ月以上5年以下の懲役
・死亡した場合(保護責任者遺棄致死罪)
3年以上20年以下の懲役
③扶養義務:監督義務違反
認知症の高齢者(義両親)が事故などを発生させて他人に損害を与えた場合、家族が損害賠償責任を負う可能性があります。
別居していても罪に問われた判例もあります。
監督義務者の責任
損害を与えた本人に責任を負う能力がない場合には,
その本人を監督する義務を負う人(監督義務者)が,損害賠償責任を負うこととされています。
一刻も早く地域包括支援センターに相談するといいよ。
(相談の項参照)
④相続:相続権
同居して扶養しても100%同居の子が全て相続できる訳ではありません。
全く面倒を見ていなくても、相続の権利ある人全員で遺産を分けることになります。
また、同居していない子が親に資金援助し、そのお金を同居している子に支払った場合、立て替え払いとみなされ、親が死亡後に精算することになってしまいます。

親が再婚した場合、子は養子縁組をしないと、相続人になれません。
母が再婚し、再婚対手の戸籍に入った場合、自立している母の子供に相続権はありません。
再婚相手の死亡により母が相続、母が死亡後に子が相続できる仕組みになっています。
相続税→【元税務署職員が解説】矢駒さんの簡単相続税講座【初心者向けわかりやすい】
⑤相続:所有権移転仮登記
建物や土地など、登記が必要な資産に関係します。
親の不動産を生きている間にもらいたいときや、相続した不動産を売りたいときに必要な知識です。
所有権仮登記とは
①権利の変動は生じているが、登記に必要な情報を提供出来ない場合
・売買や譲渡の際に書類を紛失してしまって、添付することが出来なかったパターンなどに『仮登記する』等
・売買契約で優勢になりたい時
②権利変動が生じていないが、請求権を保全したい場合
・親が所有する家を将来貰いたい時
・借入時の担保にする時
登記は原則早いもの勝ちのルールがあります。
仮登記をしておくと、本登記をしている人が死亡や手放したいときに優先的に本登記の手続きをすることができます。
仮登記をした日にさかのぼり所有権を持っていたことになり、所有者は仮登記をした人になります。
なので、本登記している人が売りたい場合、仮第三者に売買も譲渡もできません。
『優先順位』という対抗力があり、本登記した人と第三者で売買や譲渡の話し合いがついたとしても、仮登記した人がNOをすれば、抹消されてしまいます。
裁判しても勝てません。
親の不動産を相続した時に、仮登記は必ず確認しましょう。
所有権仮登記を無効にする方法
・登記をしている人に解除を申し入れて了承してもらう
仮登記している側からすれば不利益なので、応じてもらえるかはわかりません。
・競売に出す
本登記している人は社会的に大きな信用を失います。
不動産を相続したい場合
・生きているときに仮登記をする
相続権で解説しましたが、親の面倒をみたからといって、他の相続人が放棄しないかぎり、財産分与されます。
親の面倒を見た人にも当然子育てや老後資金は必要なわけですから、堂々と仮登記を申し出ましょう。
同時に生命保険などの受取人を変更し、元気なうちに資産をおさえておくことが最大のリスクヘッジになるのです。
相談先
お金がなくても親を援助する手立てはいくらでもあります。
自分が面倒見なければ、、の使命感はほどほどにくれぐれもかかえこまないようにしてくださいね。
市役所関係
・地域包括支援センター
65歳以上であればデイサービスを受けることができます。
介護を回避する第一歩です。
詳しく→
・生活保護制度
加齢や病気で働けなくなったら相談してみましょう。
生活保護を受ければ、介護施設を利用する必要になったときに、費用が一切かかりません。
詳しく→生活保護制度とは?市役所に相談する前に申請できるかチェックしよう
リバースモーゲージ(社会福祉協議会)
65歳以上が対象。
持ち家を担保に、住み続けながら融資を受けることができます。
詳しく→【国運営推奨】65歳以上の高齢の親がお金に困ったらリバースモーゲージ
法律関係
所得が少ない人は安く裁判ができるよ。
・弁護士会総合法律センター(地域ごとにあります)
相談料は30分0円~5000円と様々ですが、お金を支払うだけあって、アドバイスは的確です。
相談したからといって依頼しないといけないことはありません。
後々のリターンやリスクを考えればコスパ最強なので積極的に活用しましょう。
弁護士の見解によって回答は様々ですので、お金に余裕があればセカンドオピニオンをお勧めします。
できれば若い弁護士とベテラン弁護士が望ましいです。双方と面談をして、共通している内容が一番信頼できます。